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第七章 撤収

第七章  撤 収(1/3)

撤収準備を開始

 2月22日、築地町の突堤などでの修繕工事は完了した。厚いコンクリートが原因で配水管修理は難航したが、修理個所は5カ所で終わった。しかし、掘削をした総延長は相当な長さだった。その他に口径40㎜から口径50㎜の給水管を修理した。 
 近くの倉庫から女性事務員が出てきて 「やっとトイレが使えるようになりました」とうれしそうにお礼を言った。 

 漏水修繕班も20件以上の修理をおこなった。
 しかし、隊員の疲労はピーク近くに達しており、23日の日曜日を休日にした。
 鍋島係長と野田さんは、不謹慎かもしれないが最後に被害状況をしっかりと見ておくべきだと考えた。「無意味に笑ったり、笑顔を作るまい」と申し合わせて、長田町を始めとする被害地を歩いた。大地震に遭った被害地の状況は、報道で目にしてきた映像よりも、ずっとひどい状態。あまりに大きな地震の爪痕に次々と接して唖然とし、強い感慨を抱かざるを得なかった。


原田氏ら4人は、ぜひ風呂を浴びたいものと有馬温泉に電車で向かった。やっと1時間30分かけて着いた温泉はお客であふれ、神戸市内と同じように長い長い行列。仕方なく4人は諦めて今度はタクシーで宿舎に帰った。
 ついに10日間、風呂には入れなかった。 
 隊員の心には、3次担当区と1、2担当区の漏水修理見直し工事の全てが完了し、そろそろ帰りたい気持ちが芽生えていた。 
 鍋島係長は神戸市水道局の担当者に全ての任務が完遂できたことを伝え、神戸側からは新たな担当地区の依頼はなく、そのことは北九州市水道局にも伝えられた。
 そして、施設復旧隊は予定通り撤退することを決定した。 
 神戸市中部センターの管轄地域の通水率は100%近くになっていたのである。

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